味へのこだわり
藤田のはじまり
大切にしたい心がある。受け継いでいきたい思いがある。
それは明治二十五年ごろのこと。曾祖父が浜名湖で採れたうなぎを現在の長野県飯田市の割烹料亭に行商していたのがうなぎ藤田のはじまりです。当時、活きのいいうなぎは、貴重な高級食材。長野県の山中ならなおさらです。道中、うなぎの鮮度を保つために天竜川で汲んだ水を幾度も幾度もかけながら、約三十五里の遠い道のりを徒歩で何日もかけて運んでいたといいます。
そんな曾祖父のうしろ姿を見ながら育った祖父・今朝吉は、近隣のお客さまにいつでも活きのよいうなぎを味わっていただくため、地元浜名湖に自身の名前今朝吉の頭文字をつけた養鰻場をつくりました。「しらすうなぎ」と呼ばれる稚鰻から育て上げるこの養鰻場では、すくすくと質の高いうなぎが育っていたといいます。うなぎを大切にする心で美味しさを追求し続けた曾祖父と祖父、そして秘伝のたれをつくりあげた先代の父。親子三代のわたるその意志は、現在四代目の私どもうなぎ藤田に引き継がれております。四代目店主